ー小学4年春、嫉妬ー

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ー小学4年春、嫉妬ー

桜が散り若葉が芽吹き、春から初夏へと 暖かさを通り越して少し暑くなり 体育の授業での持久走では すぐるとアキヒロは前の集団にいた。 (マラソンは結構俺の得意分野だ。  俺もアキヒロもどうしてもクラスで  3位までには入れない。上には上がいる。  今日はいつにも増してクソ息苦しいぜ。  やべアキヒロに抜かされた。  マサは何処だ?  あっやっぱり結構後ろの方だ。) 今日の持久走はアキヒロが4位、 すぐるが6位、マサが17位だった。 〔クラスの男子20人中〕 「暑い暑い、アキヒロとすぐるは相変わらず  早いなあマラソン。僕と大違い。  あっクラス違うけど僕の友達の  ジュンちゃんも結構速いよ。  多分アキヒロやすぐるよりも速い。  あっ噂をすればジュンちゃんだ、  すぐる、アキヒロ、先にクラスに行ってて。  僕ジュンちゃんと話してくる。」 体育の授業が終わり3人でクラスに戻る途中 廊下ですれ違ったジュンの所へ マサが満面の笑みで駆け寄った。 (アイツ、マサと仲良い奴だ。  俺は奴とはあまり話した事ねえな。  小学2年までマサと奴とは  同じクラスだったが、あの時の俺は  あまりクラスに馴染めず  マサとさえあまり話した事が無い。  マサはアイツと結構仲がよく羨ましかった。  マサを意識し始めたのは小学2年の  あの出来事の時だ。  忘れもしないマサの手の感触は。  優しいマサに俺は癒された。) 「なあ、すぐる、今日お前少し変じゃね?  なんかイラついてる?  何かあった?  あっマラソンで俺がすぐるに勝ったからか。  仕方ねえじゃん。機嫌治せよ。  お前、生理みてえだぞ。」 アキヒロはすぐるの落ち着きない様子を 指摘して(からか)った。 すぐるとアキヒロが私服に着替え終わる頃 マサが教室に戻ってきた。 マサの手には漫画が一冊握られていた。 (マサ、奴に漫画借りたのか?  くそー、なんかムカつくな。  こんなにイライラしてるなんて  マサは知る由もねえな。) 「今日は給食の後、早退して先に帰るわ。  ちょっと気分が悪いから午後の授業には  出れないんだわ。」 マサとアキヒロに伝えると、 マサが俺の顔を覗きながら心配そうに言った。 「すぐる、大丈夫?  マラソンで気分悪くなったんだね。  給食食べて午後はゆっくり家で休んで。」 給食を食べ終わりすぐるは家に帰るとすぐ ベッドに横になりながら色々考えこんでいた。 (あーくそー、イライラする。  俺はこんな自分が嫌いで情けねーな。   奴(ジュン)もマサと同じ位算数が得意で  頭が良い。学年で1、2位を争っている。  俺とマサとでは人生としての次元が違う。  頭では判っている、が、くそー、  ムシャクシャする。  こんな時はマサの裸を想像しながら  一発出すか。)   
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