ー中学1年夏、ジョリーの悲劇ー

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ー中学1年夏、ジョリーの悲劇ー

梅雨が明けたばかりで じわりじわりと太陽が照らし 校舎の中も少し蒸し暑かった。 まだ扇風機や冷房も完備されてなく 窓を前回に開けて白いカーテンで 日差しを防ぐしか方法が無かった。 中学1年もマサとすぐるは 明日から体育の授業は水泳だが、 つい先程体育館でバレーの授業が 終わったばかりですぐるのクラスが一斉に 教室へと戻っていた。 (おっマサ、早えーな。一番乗りかよ。  珍しいな、マサの後ろにいるの、滝沢か?  あいつ女なのに見た目がキツイから  クラスで少し浮いてるヤツだ。  だけど胸はデカいんだ。  胸がデカいのが好きなヤツが多いが  俺は全く興味がねーな。) すぐるがクラスに入って暫くすると、 マサの大きな声がクラス中に響き渡った。 「うわあ。た、滝沢、脇に毛が、  毛がボウボウ、女子なのにどうして毛が?  僕でも生えていないのに。」 中学1年でも体育からの着替えは 男子女子関係なくクラスで着替えをする。 滝沢が体操着を脱ぐ時に腕を上げる時に マサが滝沢の脇を無意識で見てしまい その衝撃から大きな声を発してしまったのだ。 クラスの大半がマサの悲鳴に近い声を聞き、 何事が起こったのかと無意識にマサの隣にいる 少しふくよかな女子の滝沢ヒデミの脇に目線がいった。 「おい、すげーな、滝沢の脇毛、  汚ったねーな、モジャモジャじゃねーか。」 「きゃー、不潔ー。滝沢さん、ワタシ、  信じらんない。ワタシ達女子があんな感じだと  思われるじゃない、最悪ー。」 「あははは、すげーな、  剃るとジョリジョリしそうだぜ、  こいつのあだ名これからジョリー。」 クラスの大半がはしゃいで爆笑し、 色々と誹謗中傷な言葉を言い合っていた。 (マサは素直なヤツだから、  悪気がなくそして気を使わず、  思った事をそのまま言っちまうからな。  滝沢、泣いてるぜ。マサはキョロキョロして  困った顔して今にも泣きそうな顔してるな。  マサの困った顔も可愛いけど、  たかが女子の脇毛位で、  クラスの連中は大はしゃぎしてやがるぜ。) 「うるせーよ、お前ら。  この中で脇毛位生えているやついるだろーが。  俺も脇毛ボウボウだ。見たい奴は見ろよ。」 すぐるの一言でクラスは静まり返ると、 担任の女教師ムツコ先生が中へ入った。 「おい、何があった?  滝沢、マサ、二人共どうして泣いているんだ?  すぐる、お前は何か大きな声で叫んでいたな。  学級員、ほうこく。」 ムツミ先生は何事が起きたのかと 生徒達を睨みつけるように学級委員に 問いただした。 「先生、先程の騒ぎは、  滝沢さんが体操着からの着替えの時に  脇に毛が生えていているのをクラスの大半が  見てしまい僕達はびっくりしまいました。  クラスの大半が大笑いしてはじゃいで  滝沢さんに誹謗中傷な言葉を言ってしまい  不快感を与えてしまいました。」 「学級員、説明ありがとう。  この中で誹謗中傷した者、前に出なさい。」 ぞろぞろとクラスの大半が前に出たが、 滝沢、マサ、すぐると他5名程しか 席には居なかった。 「今前に出た者は、後で滝沢に誠意を持って  謝罪しなさい。はい、皆、席に戻れ。  二度と誹謗中傷な事は言わないように。」 (俺はマサを見たが、顔が下向いたままだ。  後でマサを慰めてやらねーとな。)
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