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サオリは目をつむり最後を待った。
その短い時間に、似合わない服を着て見当違いの話をし、引きつった笑顔で見た目だけ可愛い不味いケーキを食べる自分の姿が目に浮かんだ。
嫌だ!こんなの私じゃない!
そう叫ぶと、次には、
居心地の良い自分の部屋で、大好きな小説を読みながら、昔から変わりばえのしない近所のケーキ屋のモンブランをつつく自分の姿が浮かんできた。
これでいいよ。こういうのが好きなの。
私、こんな風に生きていければいいの。
髪の毛が水に着いたのがわかった時、
サオリはようやく本当の自分を受け入れた。
サオリの意識は途絶えた。
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