卒業 見届け人

3/4
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
サオリは目をつむり最後を待った。 その短い時間に、似合わない服を着て見当違いの話をし、引きつった笑顔で見た目だけ可愛い不味いケーキを食べる自分の姿が目に浮かんだ。 嫌だ!こんなの私じゃない! そう叫ぶと、次には、 居心地の良い自分の部屋で、大好きな小説を読みながら、昔から変わりばえのしない近所のケーキ屋のモンブランをつつく自分の姿が浮かんできた。 これでいいよ。こういうのが好きなの。 私、こんな風に生きていければいいの。 髪の毛が水に着いたのがわかった時、 サオリはようやく本当の自分を受け入れた。 サオリの意識は途絶えた。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!