最低で最悪のサプライズ

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 六十歳で定年を迎えた後、会社の再雇用制度で六十五歳まで職場に残る道もあったけど、夫はそうしなかった。  だからあの年の夫の誕生日は三十八年と途方もなく長かった彼の、サラリーマン生活卒業の日でもあった。……そして悲しいかな私には、その日起こった正にと言えるある出来事により、もう一つの卒業を選ばざる得なかった日でもある。    これはあるひと組の夫婦録──。
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