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闇鬼とは
闇鬼はこの世に未練を残し、天国に行けなかった人の魂と人間から隠れてひっそり暮らす妖怪が混ざりあって発生した誰彼構わず襲い続ける化け物である。
通常はその場で発生しそのままそこに居続けるのだが、稀に幾つかの魂を喰らい現世に留まりきれず異界に転送された闇鬼がいる。そいつらは異界で力を貯めると自身の力を使い、ゲートを作って現世に現れる事があるのだ。それが今、何の予兆もなく発生した。
どうする、今学校から抜け出してさっさと狩りに行くべきか?…イヤでも午後はテストがあるし、ただでさえ寝てばっかの俺がサボるわけにはいかない…。
「おーい!どうしたんだってば!充!席埋まっちまうぞ!」
「…!おっ、おう今いく!」
結局俺がゲートに向かう事はなかった、テストなんていってはいるが本当は怖かったんだ。闇鬼を倒しきれないことが、中途半端に関わって怪我人をだすのが。だったらこのゲートを本部の人間が見つけるまで俺は傍観していた方が良いって、自分に言い聞かせて正当化を図った。
全ての授業が終わって放課後を知らせるチャイムが鳴る。教室の奴らはほとんどが部活に入っているのでみな、それぞれ必要となる準備を始めた。
「じゃ!僕部活あるからまたなー充。」
「おぉ、さっさとどっか行け。」
「冷たっ!充なんか、もういいよーだ、後で部活見学にくる琴音ちゃんに慰めてもらおっ!」
下手くそな泣き声と無駄に顔の良い泣き顔を披露しながら教室から去っていく颯天。すると廊下からキャーという女子の黄色い悲鳴が上がるが大方颯天の泣き顔を見た奴等だろう。
「…俺もさっさと帰ろ」
特に何も入っていないすっからかんのリュックを背負って昇降口に向かう、一階に降りて職員室を過ぎると丁度この先に下駄箱があるというのに、謎の男子生徒の塊で辺りはごった返していた。部活に向かっている人だかりというには余りにも人数が多すぎるので少し気になって顔をだす。
「よぉ、竹田。これ何の人だかりだ?」
むさ苦しい軍団の一番後ろで背伸びをするクラスメイトに声を掛けた。
「おっ!信条丁度いいとこにきたな!ここにいる奴らは皆如月さんをマネージャーにしようと待機してるやつらだよ!どの部活の奴もことごとくフラれてるから面白くてみにきたんだ。」
「ほぇー、どれどれ…。」
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