忍び寄る怪現象

2/25
前へ
/182ページ
次へ
 いまは、今月のハロウィーン祭りと十一月の地域の文化祭に向けてのレッスンをしている最中だった。  地域クラブであるダンス教室の発表の場はそういうのが多い。全国大会に出るというレベルではなかった。柚葉はそこが物足りなくて、県立の中高一貫校への進学を機会にダンス教室をやめ、同時に学校のダンス部に入部したのだ。中学入学から四年、高校一年にして主要メンバーの一人に選ばれて充実した活動を続けていた。  そんな姉のようになりたいとは、華凛は思わなかった。というより、なれそうな気もしなかった。  だから姉と同じ学校――県立の中高一貫校に進むよう期待されていても、実はあまり前向きではない。当然ながら、地域のダンス教室なんかよりはるかに高い実力者が汗を流すダンス部に入る気なんかさらさらない。
/182ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加