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テレビ画面の隅に表示された時刻は七時半をすぎていた。
「いけない。もう出なきゃ」
かきこむように朝食を食べ終えると、柚葉はあわてて立ち上がり、テーブルに置いてあるお弁当箱の包を取り上げる。
「行ってきます」
あわただしくダイニングから出て行き、玄関ドアが開いて閉じる音。
「さ、華凛も用意しなさい」
「はーい」
食べ終えた食器を姉の分まで流し台にもっていき、
「じゃ、行ってきます」
ランドセルを背負い、ダイニングキッチンを出る。集団登校の集合場所に行って、そこから登校することになっていた。全員がそろわないと出発できないから、時間どおりに集まらないといけない。とくに六年生ともなると、下級生の面倒をみる立場だ。
スニーカーをはくと、玄関ドアを出た。こうして、いつもと同じ、新町華凛の一日が始まった。
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