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家から歩いて二十分ほどのところにある創立五十四年だという小学校は、全校生徒八百人ぐらい。六年生は四クラスあって、新町華凛の六年三組は三十三人。
冬服に変わったせいで雰囲気の違う集団登校の先頭で下級生たちを引き連れてきた華凛は、登校時間で混雑する玄関で上靴に履き替え、二棟あるうちの北側校舎の三階にある教室に入る。
先に来ていたクラスメートたちのざわざわとした話し声。すでに朝からまた例のウワサで盛り上がっているようだ。
怪現象。
夕暮れの、人の絶えた道でまっ黒い影が追いかけてくるという。影は、男性なのか女性なのかはっきりしない、明らかに人間ではなかったという話もあるから「不審者」ともいえない。なんだかぼんやりしたイメージばかりで危害をくわえられたわけでもなく、危険だとは聞かない。たんに不気味なだけで。でもなにか起きるんじゃないかという恐怖が、みんなの心を不安にさせていた。
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