六年三組 新町華凛

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 華凛たちから離れたところで、男子たちが威勢のいいことを言っているのが耳に入る。 「もし妖怪だったら、どうするんだよ」 「妖怪なんか、いるかよ」 「ただの影だろ。おれは、影に立ち向かってやるぜ」 「みんなで怪現象をさがしに行かないか?」  遊び半分でそんな話をしている。  そこへチャイムが鳴った。黒板の上に取り付けられている時計の針は八時四〇分。  ばたばたと音をたてて、みんなが席につく。  職員室からの移動時間を計っていたかのように、担任の先生がチャイムの鳴り終わると同時に教室に入ってきた。三十五歳で化粧の厚い独身教師は、小脇にかかえた出席簿を教卓の上にたたきつけるように置いて、 「朝の会を始めるわよ」  いつものように出席をとりはじめた。
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