六年三組 新町華凛

12/12
前へ
/182ページ
次へ
 華凛は、隣の席にすわる六花の様子をちらりと見る。誰にも話していないことを友だちに話せて、少し落ち着いているように感じられた。一度でもそんな経験をしたら、次は襲われるのではないか……と、不安に思っていてもおかしくない。 (この怪現象が、本物の事件につながらなかったらいいけれど……)  華凛がそんなことを思っていると、 「じゃあ、授業をはじめるよ。一時間目はみんな大好き算数よ」  先生がうれしそうに宣言した。  時間割どおりなのに、ええー、と不満そうな声がクラス全体から上がった。  華凛はランドセルから教科書とノートを引っぱり出す。ペンケースからえんぴつを取り出して、授業に集中しようとした。  このとき華凛は、自分の身になにが起きようとしているのか、まったく想像すらしていなかった。
/182ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加