17人が本棚に入れています
本棚に追加
華凛は、隣の席にすわる六花の様子をちらりと見る。誰にも話していないことを友だちに話せて、少し落ち着いているように感じられた。一度でもそんな経験をしたら、次は襲われるのではないか……と、不安に思っていてもおかしくない。
(この怪現象が、本物の事件につながらなかったらいいけれど……)
華凛がそんなことを思っていると、
「じゃあ、授業をはじめるよ。一時間目はみんな大好き算数よ」
先生がうれしそうに宣言した。
時間割どおりなのに、ええー、と不満そうな声がクラス全体から上がった。
華凛はランドセルから教科書とノートを引っぱり出す。ペンケースからえんぴつを取り出して、授業に集中しようとした。
このとき華凛は、自分の身になにが起きようとしているのか、まったく想像すらしていなかった。
最初のコメントを投稿しよう!