六年三組 新町華凛

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 姿見の前でくるりと回る。髪の毛がふわりとゆれる。 (よし)  華凛はドアを開けて自室を出た。  ダイニングキッチンでは、もう母親が三人分の朝食の準備をしているところだった。おみそ汁の匂いがたちこめ、納豆のパックと昨日の夜に残った筑前煮と焼けたばかりのベーコンエッグが、湯気のたつご飯といっしょに白いテーブルに置かれていた。 「おはよ、ママ」 「あら、今日は呼ぶ前に起きたのね」  キッチンのガスコンロの前に立つ母親は華凛を振り返って、 「あ、そうか。今日から冬服だったわね」  えへへ、と華凛は照れ笑い。 「ちょうどよかったわ。お姉ちゃんを起こしてきてちょうだい」 「ええー」  とたんに眉をよせる。 「中間試験の勉強で、ゆうべは遅くまで起きてたから、起こしてあげないと起きないし」
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