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「お姉ちゃんったら、なかなか起きないんだもん」
何度か母親に言われて起こしにいったが、まともに起きてくれたためしがなかった。
「さぁさ、早く」
華凛はしぶしぶ姉の部屋に向かう。せっかくいい気分の朝だったのに。
四歳上で高校一年の姉・柚葉は、ダンス部の朝練があるときは華凛より早く起きて学校に行っていたが、定期試験前はクラブ活動が休止するのでぎりぎりまで寝ている。
ドアをあけて、華凛のと同じ五・五帖の広さの姉の部屋に踏み込むと、上布団が盛り上がっているベッドに向かって、
「お姉ちゃん、起きてよ」
手に取ってみた目覚まし時計は、アラームはもうとっくに鳴ったはずなのにしっかり止められていて、これじゃぜんぜんセットした意味がない。
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