六年三組 新町華凛

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「じゃあ、わたしが作ろか」 「華凛が?」  柚葉はあきれた目で十一歳の妹を見た。小学校六年生では家庭科で調理実習とかも習っていたから少しはおぼえがあるのだろう。 「できるわけないじゃん」  でも柚葉は信用していない。 「やってみたいの」 「包丁で手を切るわよ」 「どうする、柚葉? 華凛に作ってもらう?」  母親はためすような目を長女に向けた。 「わかったわよ。勉強の合間にわたしが作るわ。華凛に作らせたら、なにを食べさせられるかわかったもんじゃないし」 「そんなことないよ」  姉の失礼な言いように、妹は反発する。 「じゃあ、華凛はお姉ちゃんの手伝いね」  ふっと息をつく柚葉。父親がいてくれたら母親が夜勤に出ることもなかったろう、と思うこともあった。でもそれを願ったところでしかたがなかった。すぎてしまった時間は戻ってこない。
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