人間のお兄ちゃん。

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 ***  その後、どうなったかって?  妹にはちゃんと、特別な資格を持った先生がついてくれて。力の訓練や、爪の手入れのやり方を教えてくれたよ。お父さんも、仕事を少し減らして、家にいられるように頑張るよと言ってくれた。僕は怪我が治ったあとは普通に学校に行ったり、クラブ活用や委員会ができるようになった。  春名は訓練して力をコントロールできるようになったし――ほら、春名おばさん、お正月に会っただろ?僕と春名おばさん、仲が悪く見えたか?そんなことないだろ?  何でこんな話をしたかって?  それは、瑛太も今日からお兄ちゃんだからさ。  お母さんからそう言われて、瑛太はお兄ちゃんとして頑張れるように、弟を今日から自分が守るんだって張り切ってたけど。いくら瑛太が妖精の魔法を使えるからって、何でもできるわけじゃない。赤ちゃんは、魔法の力のコントロールがうまくないから、瑛太が僕と同じように怪我をしてしまうこともあるだろう。  世の中にはいろんな人がいていい。これからも、人間といろんな種族の人で交わって、様々な個性を持つ人が生まれることだろう。その中には、個性が強すぎて障害と言われてしまう人もいるかもしれない。それがぶつかりあって、傷つけあうことも。  でも、どうか忘れないで。  誰のことだって理解しなくちゃいけないと思わなくてもいい。お兄ちゃんだから、何でも我慢しなくちゃいけないと思わなくてもいい。血のつながった兄弟だって、それがどんだけ仲良しだって、何もかも分かり合えるわけじゃない。それが普通のことだ。  だから、男の子だって泣いていい。  お兄ちゃんだって辛かったら辛いって言っていい。  我慢しすぎて君が傷ついたら、それは最終的に君が守りたかった誰かのことも傷つけてしまう。  弟と喧嘩したり、怪我をしたりしてどうしようもなくなったら僕のところにおいで。お父さんが、どうすればいいか一生懸命考えるよ、瑛太と一緒に。  今日から瑛太はお兄ちゃんだけど、どうか覚えておいておくれ。  昨日までも、今日からも、明日もずっと。  僕が君のお父さんで、一番の味方だってことを。
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