第2話 落ちた先は

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第2話 落ちた先は

フィアナ「おーい!…おーい!起きてるー?生きてるー?」 ミリル「………?…誰?…」 フィアナ「私はフィアナ!…あなたこそ誰?こんな平原で爆睡してるなんて…」 ミリル「平原?…」 ミリルが辺りを見渡すと一面が草原であり平原であった 目の前にいる青色のリボンで髪の毛を結んでいるポニーテールの少女はミリルの手を掴み立ち上がらせようとした ミリル「っ!?」 フィアナ「そろそろ王都に戻らないとダメだよ?夜は魔物が多いんだから!」 ミリル「ま…もの?…何ですか?…それは…」 フィアナ「えっ!?知らないの!?…この世界…人類の敵よ」 ミリル「敵………」 フィアナ「…とりあえず、王都の宿まで送るわ。行こう!」 ミリル「は、はいっ……」 ミリルはフィアナに手を引っ張られ、立ち上がり フィアナの後ろについて行こうとした ミリル(わ…私…なんでこんな所にいるんだろう…) ミリルは自分の名前と言語以外忘れてしまい、自分が何故平原で寝ていたのか分からずにいた ーエンディアン王国ー フィアナ「ここが王都…まぁ簡単に言うとエンディアン王国だよ!」 ミリル「王国……」 フィアナ「さぁ入ろう!」 ミリル「えっ!?ちょっ!」 フィアナが門前までミリルの背中を押し、門を潜ろうとすると門番らしきもの達に止められてしまった 門番A「止まれ!」 ミリル「ひゃぁっ!?」 フィアナ「ん?なんで止めるの門番さん」 門番B「…あっ、フィアナ令嬢か!」 門番A「あ、本当だ。やっぱり服装や髪型が違うと間違えるな…」 フィアナ「ビックリしたよ!私の顔忘れたのかと思った!」 門番B「前にいる子は誰だ?」 フィアナ「この子はね平原の所で寝てたの。宿とか見つけてないらしいから連れていこうと思って」 門番A「フィアナ令嬢なら怪しいヤツではないか。頑張って宿探してこいよ!」 フィアナ「ありがとー!」 ミリル「…フィアナさん…?」 フィアナ「ん?何?」 ミリル「その……宿って……」 フィアナ「私のおすすめするとこ案内するよ!安くて寝やすいよ!」 ミリル「あ…いえ…そういう意味ではなくて… …別に私は…外でも大丈夫ですから…」 フィアナ「えっ!?どうして!危ないよ!」 ミリル「………お金…ないです…」 フィアナ「…あ、お金?…お金ないならあげるよ?」 ミリル「いいえ…大丈夫です…何とかしますから」 ミリルが恐る恐るフィアナから離れようとするとフィアナは逃げようとするミリルの手を掴んでどこかへ連れていこうとした フィアナ「お金欲しいならギルドだよ!」 ミリル「ギルド!?」 フィアナ「ついでに通行証も発行してもらおう!」 ミリル「???」 フィアナと一緒に走っていくと、目の前に大きな建物が建っていて、ミリルは驚いた顔で見ていた ミリル「お…大きい…」 フィアナ「とりあえず入ろっか」 フィアナが扉を開くと、たくさんの人がフィアナを見つけた途端話しかけに来た エピリス「フィアナ!お疲れ様!」 リキル「フィア、今日は誰を連れてきた」 荒々しい服装を着る者や貴族らしい服装を着る者もフィアナの周りに集まり、ミリルはどうすればいいか分からずあやふやしていた ミリルは空気に耐えられなかったのかこっそりと出ていこうとしたがフィアナにガシッと手を捕まれそのまま受付まで進んだ フィアナ「邪魔よー!フレジリアさん!この子を登録してあげて!」 フレジリア「フィアナさんこんばんは!…そこに居るのは?」 フィアナ「さっき知り合った子。まだ冒険者登録してないみたいなの」 フレジリア「…フィアナさん…この子服装が明らかに貴族っぽくないですか?」 フィアナはそう言われるとミリルの服装を見た時に、真っ白な生地に黄金が散りばめられているいかにも王族辺りが着ていそうな服をミリルが着ていることに気づいた フィアナ「……ねぇ、君って貴族?」 ミリル「………貴族じゃないです」 フィアナ「そ…そうなんだ…」 フレジリア「とりあえず…血をここに垂らしてください」 ミリル「え?…血?…」 フィアナ「短剣で人差指を軽く切って垂らせば…」 ミリル「い…嫌です!傷つけたくないです!」 フィアナ「……それだったら針でぷすっとやる?」 フィアナはカバンの名から短い針を出し、それならとミリルは頷き 目を瞑って人差指を出した。 フィアナはミリルの人差指に針を軽く刺し、溢れた血をボードの上に垂らした ミリル「うぅ……」 フィアナ「よし!…」 フレジリア「ただ今鑑定結果を見ますね……えーと…お名前はミリル・セレントヴァインさんですね」 ミリル「…はい」 フレジリア「スキルは……??…読めませんね…塗りつぶされてます…」 ミリル「…え?…危ないヤツですか?…」 フレジリア「危ないと言うより…どんなスキルか分かってないとどう自分を鍛えていくか分かりませんから…まぁほかのやつを…恩恵は…なし…剣術…レベル99…体術…レベル99…槍術…レベル99…知識以外はカンストしてますね……え?どういうことですか!?」 ミリル「し…知りませんっ!」 フィアナ「うわぁ…天賦の才能ってやつ?…ミリル。ミリルの反応見る限り…自分の能力見るの初めて?」 ミリル「……あ…その…………私……記憶無くて……自分の名前ぐらいしか分かりません…」 ミリルはスカートの布を握り締めて下を向いて怯えていたが、フィアナはミリルの髪の毛を撫でて大丈夫だと落ち着かせた フィアナ「大丈夫、ミリルは戦えるよ。試しに私と一緒に討伐しに行く?」 ミリル「…戦えますか?…かえって足でまといになったら…」 フィアナ「…ふっふーん!このフィアナ様に任せれば楽勝よ!」 フレジリア「フィアナさんは冒険者ランキング3位の実力者なんです!」 ミリル「3位…凄い…」 フィアナ「それ程でもないよ!フレジリアさん!何かいいクエストとかある?」 フレジリア「えーとですね…ミリルさんとフィアナさんの実力差を考えてやってみると…まずはスライムですかね」 フィアナ「うげ…スライム…粘着液はもうごめんだよぉ…」 ミリル「スライム…」 フィアナ「ミリル、スライムって分かる?」 ミリル「…分かりません」 フィアナ「スライムはぁ…スライムはー…ゼリー!」 ミリル「…ゼリーなんですか?」 フィアナ「うん!ゼリーみたいなスライムを倒せばいいの!」 ミリル「…分かりました。」 ーマガドルナ平原ー フィアナ「よーしっ!新人ミリル君!倒そうではないかー!」 ミリル「お、おーっ!」 ミリルは腰についていた剣を抜き、構えた ミリル「ふぃ…フィアナさん…スライムって…どこですか?」 フィアナ「えっ!?」 ミリル「なんでフィアナさんの所だけに集まってるんですか!?」 フィアナの周りにはフィアナに攻撃してくるスライムが数十匹いたがミリルの周りには1匹もスライムがいなかった フィアナ「えぇっ!?…」 ミリル「と…とりあえず加勢します!そりゃぁぁぁ!」 ミリルが目を瞑ってフィアナの所へ突進し、剣を振り回すと スライムがミリルの剣を恐れているのか ミリルに体当たりはするが、ミリルの剣に当たるのだけは避けていた ミリル「いてててで!」 フィアナ(ミリルの剣をあからさまに避けてる?…本質視界で見てみよう) フィアナは右手で右目を覆い、中指と人差し指を開くと 本質視界が発動し、ミリルの剣を観察した フィアナ(うわっ!何あの凄いオーラ…伝説級の武器でもあそこまで出ない…まるで神話級の…) ミリル「も…もう痛いって言ってるでしょー!」 ミリルが一気に大振りすると、空間ごと鋭い音を鳴らしながら断ち斬り、地面もまるで水のように軽く斬れてしまった ミリル「……え?」 フィアナ(スライム達はミリルの剣の危険さにいち早く気づいていたのね…) ミリル「ど…どうしようフィアナさん!当たらないよ!私討伐出来ないよ!」 フィアナ「…魔法とか使えたら良かったのだけど…ミリルは生憎物理特化らしいし…広範囲攻撃するしかないわね……」 ミリル(…私…フィアナさんを困らせてる……… フィアナさんは凄腕の冒険者?…なのに…凄く弱いと言われているスライムですら倒せない私の面倒を…) フィアナ「………ねぇ、その剣についてなにか覚えとかある?」 ミリル「ま…全く無いです……」 フィアナ「良かったらそれ貸してくれない?」 ミリル「は、はい。分かりました」 ミリルがフィアナに剣を渡そうとすると、ミリルの手を離れた瞬間 まるで石像かと思うぐらいの重さになり、フィアナは慌てて剣から手を離した フィアナ「っ!」 ミリル「え?」 剣が落ちると地面にめり込み、フィアナはミリル以外の者が持てないようにされている剣だと理解した フィアナ「これはあなた専用の剣ね。盗用防止されてて羨ましいわ」 ミリル「そ…そうなんですか…?」 フィアナ(剣術99なのに発揮できないなんて勿体ない……1回命の危機を感じさせた方がいいのかもね) フィアナ「ミリル、1回その剣をどこかに置いときなさい」 ミリル「え?」 フィアナ「私の剣を渡すから。それで戦って」 ミリルはフィアナの指示通りに剣を近くの木の下に置き、フィアナの剣を受け取った フィアナ「じゃあ私は離れたところから見てるから」 ミリル「えっ!?手伝ってくれないんですか!?」 フィアナ「そんなんじゃあ成長出来ないよ」 ミリル「は…はい。分かりました!…」 フィアナはそう言うと 数十メートル離れたところに飛んでいき、あの剣を持たないことでスライム達がミリルの周りに集まってきた ミリル(怖いっ…もし襲われたらどうなるの?…私死んじゃうの?…嫌…死にたくない…………だけど近くには…フィアナさんがいる…もし死にそうになったら…フィアナさんが助けて…くれるよね?…) ミリルを襲っても害はないとスライムが判断したのか一斉にミリルへ飛んで襲いかかると、ミリルの体が反応したのか、かつて戦場で強い神達と戦ってきた癖が現れたのか、体が勝手にスライムを全滅させていた フィアナ(な…なんて軽やかな動き…一瞬だけ別人に見えた…) ミリル「っ……勝手に…動いた…」 フィアナ「おめでとうミリル!これで任務は達成よ!」 ミリル「ありがとうございますフィアナさん!」 フィアナ「…疲れてないの?」 ミリル「いえ…全く」 フィアナ「あんな動きをしていながら疲れてないなんて凄いね」 ミリル「恐縮です」 フィアナ「とりあえず魔石は93個。目標以上ね」 ミリル「初任務達成です!」 フィアナはスライムの魔石をアイテムボックスの中に全て入れ、ミリルの剣へ指を指した フィアナ「忘れないようにね」 ミリル「は、はい!」 そうして2人はエンディアンに戻り、ギルドへ報告をした フレジリア「お疲れ様です!フィアナさん!ミリルさん!スライムの魔石の規定数受け取りました!」 フィアナ「やったわねミリル!」 ミリル「はい!」 フィアナ「レベルは少しは上がったかしら」 ミリル「れ…べる?」 フィアナ「強さよ。この世界では魔物を倒していくことで強くなっていくシステムなの。私はレベル763だけど…ミリルは…」 ミリル「…1…ですね」 フィアナ(っ!?…経験値が全く入ってない!?…スライムを93体も倒したら少なくとも5にはなっているはずなのに!…) フレジリア「フィアナさん?…」 フィアナ「あっ、ごめんね。フレジリアさん」 フレジリア「私は構いませんが…ミリルさんの顔が…」 ミリル「…フィアナさん…ごめんなさいっ…私…やっぱり何も出来なくて…」 今にも泣きそうな顔をしているミリルを見て、フィアナは慌てて ミリルの頭を撫でて落ち着かせようとした フィアナ「大丈夫だよミリル!落ち込むことは無いよ!」 リキル「やけに弱々しいな」 フィアナ「ギルド長!」
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