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「卒業、おめでとう」
隣を振り向くと、ユウがにこりと微笑んでいた。
「うん。まだ式の前だけどね」
今日で着納めになる制服の袖は、3年前より短くて、机に頬杖をつくと、手首から朝の冷たい空気が入って、ひやりとした。
学習机というには華奢な机の前で、正面の壁をくり抜いた窓から、外の景色を眺める。
「座る?」と、ひとり掛けの椅子に乗せたお尻を少しずらして訊いてみたけれど、ユウは「いいよ」とあっさり断って、ポケットに両手を突っ込んだまま立っている。
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