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こういう朝を、私たちは何回も、何十回も、何百回も過ごしてきた。
何気ない日常の中には、いつもユウがいて、私は中学3年生になった。
これから学校に行って、寒い体育館で合唱をして、卒業証書を受け取ったら、私は中学生じゃなくなる。
もうすぐ、高校生になる。
だから、私は今日、ユウに伝えようと決めていた。
「あのね、ユウ」
窓ガラスの向こうを見つめたまま、ひとりごとみたいに話しかけると、ユウがこっちを見ているのが視界の端に入った。
きっと、いつもの優しい笑顔で、私を見ている。
ユウは、そういう人だから。
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