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なるほどやはり嵌められた
「な……ッ! なんですかこの内容は!?」
「ニッシッシッ! やっぱり読んでなかったな!」
策にはめたことが嬉しかったようで、ご機嫌に笑うサーチェを睨みつけるが……当のサーチェは意に返した様子もなく笑い続けるだけだった。
くそっ……! いや……待てよ? 確か契約内容には……。
「さてと……んじゃセリカ。 お前にはこれから……っておいおいおい!? 何しようとしてるんだ馬鹿野郎!?」
サーチェは気がついたようだが……もう遅い。
僕はここで、かつて僕だけが使うことのできた大魔法の詠唱を完成させたのだから。
「……くたばれ! 《終焉の無》!」
「うわぁぁぁぁ……ってあれ?」
「……《終焉の無》!」
念の為もう一度詠唱したが……一向に魔法が発動する気配はない。 気まずい沈黙が僕たちの間に流れる……。
これは……魔力が足りない!?
「……さて。 参りましょうかご主人様。 何か用があるのでしょう?」
「いやお前……今のってもしか……」
「御用があるのでしょう? ご主人様? 早く参りましょう」
「いやだからさっきのって……痛てぇ!?」
くどいサーチェの脛を蹴り飛ばしてやったところ、ようやくわかったのか「俺の親父。 現国王に会いにいくぞ」と指示を飛ばしてくれた。
「あ。 お前、親父の前ではちゃんとしろよ? もし変なことをしたら俺が怒られるんだからな!?」
「おやおや。 それはどうでしょうか? もしかしたら間違えて魔法をぶっ放してしまうかもしれませんね」
そんな風に少しばかりサーチェに反撃できたことを喜びながら、僕はまだ見ぬ国王の元へと向かうのだった。
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