トリートメント

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トリートメント

 ついに卒業だ、、!  卒業と聞くと悲しいイメージを思い浮かべるかもしれないが、今の僕は期待に満ち溢れている。キャップを開けて、トリートメントを手に取る。そう、僕は天然パーマから卒業する。  物心ついた頃には、僕の髪の毛はクルクルして広がっていた。周りからはボサボサに見えていたかもしれないが、何となくめんどくさくて放置していた。しかし、そんな僕も春から大学生。SNSでつながった春から同じ大学に通う人の投稿を見ているとお洒落な人しか見当たらない。さすがに焦った僕は、高校の友達に相談した。  「祐樹、なんでそんなに髪サラサラなの?」  「俺の髪サラサラに見える?」  満足げに聞き返された。祐樹は高校に入学して最初に出来た友達だ。初めて会ったときは僕とそんなに変わらない気がしたけど、違うクラスになっている間に気づいたら普通の髪になっていた。気になってはいたけど、反応を見る限り何か自覚はありそうだ。  「トリートメントを使い始めたんだよ。」  まだ何も言っていないが、続けて祐樹はそう言った。美容院に行くのは気が進まなかったが、市販のトリートメントをつけるだけなら簡単そうだ。おすすめのトリートメントを聞き、帰り道に薬局で購入した。  お風呂でシャンプーをした後、さっそくトリートメントを髪の毛になじませる。髪の毛のボリュームが収まっていくのを感じる。5分後にシャワーで流すと髪の毛がとても滑らかだ。すごい!こんなものがあったなんて。テンションが上がったまま鼻歌交じりにドライヤーをする。さぁ、仕上がりはどうかな。自信満々に鏡を見る。  あれ、、、?そこに映っているのはいつも通りの僕だ。濡れた髪では良い感じだったのに、乾くと元通りになってしまった。一気に現実に引き戻される。どうやら僕の天然パーマはトリートメントの効果に勝ってしまったらしい。まだまだ天然パーマとの生活は続きそうだ。
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