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「ゆか! またあんたはゴロゴロして!」
こたつでくつろいでいると、お母さんがいつものように怒り出した。
「休みなんだからいいじゃん」
私は適当に返答してスマホ画面を見た。スマホゲームのライフが回復しているのに気づいて、ゲームを進める。
「はあ、せっかく花の女子大生だってのに……なんてことかしら。あんた大学に友達いないの?」
「いるよ。いるけどみんな忙しいんだから私と遊ぶ暇なんてないの。勉強にレポートに合コンにバイトに……」
「じゃあ、ゆかはどうして何もしてないのよ」
「単位はちゃんと取ってるでしょ。お小遣いはなくてもスマホゲームで毎日楽しいし、合コンは面倒くさいしー」
「はあ、せっかく可愛く産んであげたのに……」
お母さんはため息をついた。「せっかく可愛く産んであげたのに」はお母さんの口癖だ。いや、お母さんだけじゃない。私は友達からも、「ゆかちゃん顔は可愛いのに……」とよく言われる。私は顔は可愛いらしいがなんか残念な人間らしい。
大学卒業できる程度にはちゃんと勉強しているんだからほっといてほしいと思う反面、こんな自分がちょっと嫌だし、お母さんや友達が言わんとしていることはわかる。
だけど、やっぱりやりたいこととかないし。
「あ、そうだ。ももくんから葉書が来てるわよ」
「ももくんから? 葉書?」
「卒業制作展ですって」
そう言いながらお母さんは私に葉書を手渡した。私はこたつから起き上がりもせず手を伸ばして受け取る。
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