5人が本棚に入れています
本棚に追加
「あの人を呼んで…」
過去からタイムスリップで現在世界に来てしまった私はもうすぐ消えてしまうだろう。
「あの人って……」
「烏野さんよ……」
烏野さんは綺麗だった。
多分。
いなくなってしまったから思い出せない。
でも、私が唯一愛した人だった。
今、何をしているのかしら。
私を捨てないと言っていたのに捨てた貴方は。
もう私は消えてしまうというのに。
キミエ。君は僕のことを忘れて、存在しない誰かをずっと探している。幼稚園からずっと一緒だった僕を忘れて。生涯君を愛すと誓った僕を忘れて。
君がいつも語る譫言。
過去からタイムスリップしたという話。
それは、タイムスリップしたんじゃない。
君が、今に至るまでの記憶を全て忘れただけ。
でも、たとえ君が、僕のことを忘れていたとしても君が幸せなら僕はそれで構わない。
だって、僕が全部、君を覚えているから。
「100歳の誕生日おめでとう。キミエ」
最初のコメントを投稿しよう!