「卒業」からの卒業

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 ブルーノートと言えば、俺でも知ってるジャズの老舗レーベル。そこからデビューだなんて…… 『すごくないよ。那須君なんか、とっくの昔にデビューして大ヒット飛ばしてるじゃない。那須君、文化祭のライブでオリジナル曲の弾き語りやってたでしょ? 私、たまたまそれ聴いて、あ、この人ひょっとしたら将来すごいアーティストになるかも、なんて思ったんだよね。ほんと、その通りだった……って、あれ? どうしたの?』  俺が沈んだ顔をしているのに気づいたのか、高橋さんが怪訝そうに俺を見ていた。 「俺はダメだよ。『卒業』以来全然売れなくてさ。契約も打ち切り。今はしがないインディーズさ。それに比べたら、高橋さんのがすげぇと思う」 『そうだったんだ……』高橋さんは一瞬うつむくが、すぐに俺に向き直る。『確かに、那須君の曲ってJPOP向けじゃないかもしれない。どっちかって言うと……ジャズ向けなんじゃないかな。私、君の曲をジャジーにアレンジして()ってみて、つくづくそう思うもん』 「……え?」  俺の曲がジャズ向け……? 考えたこともなかった。 『そうだよ、那須君。思い切ってジャズに転向しない?』
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