3人が本棚に入れています
本棚に追加
「え……いや、だけど俺、ジャズってあんま詳しくないし……なんか、難しそうなイメージがあるんだけど……」
『何言ってんの! あれだけ小難しい曲書いてるくせに。「アフォーダンス」のサビなんか、FからFaug/B ,A#M7でしょ? あんなのJPOPのコード進行じゃないよ』
「……」
さすが。彼女はよく分かってる。確かにそこは俺が一番気合い入れて作曲したフレーズだ。
『だから、那須君もジャズミュージシャンになってさ、それで……私に楽曲提供して欲しい。君とセッションもしたいしさ。今はオンラインでコラボできる環境も整ってるし』
「……!」
なんてことだ。彼女の口からそんな言葉を聞けるとは……
目の前がぼやけてきた。
『あ、あれ……? 那須君、どうしたの……? 泣いてるの……?』
涙をぬぐってみると、いつの間にか高橋さんが心配そうな顔になっていた。
「ごめん……嬉しくてさ……俺、高校時代、君と……一度だけでも一緒に演奏したいって思ってたんだ……その夢が、十年越しにかなうなんて……」
『え……そうなの?』困惑した顔で、高橋さん。
最初のコメントを投稿しよう!