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「ああ。『卒業』の歌詞でさ、”校舎裏で歌う君の肩に 桜ひとひら”ってあるだろ? あれ、最初は”音楽室でピアノ奏でる君”だったんだ。だけど……それだと高橋さんのことだって分かる人には分かっちゃうな、って思ったから……変えたんだよ」
『……』高橋さんは口をポカンと開けたまま、絶句していた。
しまった。
俺は口を滑らせたことに気付く。これじゃ告白したようなものじゃないか。
だけど……もう十年も前のことだ。笑い話だよな。
「ご、ごめん。昔の話だからさ。気にしないでくれ。なんかちょっと、嬉しかっただけだから……」
『……ねえ、那須君』画面の中で、顔を真っ赤にした高橋さんがうつむいていた。『私が、なんで君の曲をカバーしまくったか、わかる?』
「……え?」
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