「卒業」からの卒業

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 日本には「卒業ソング」と呼ばれる楽曲が数限りなくある。俺も学校の卒業式では「旅立ちの日に」を歌ったものだが、親の世代は「蛍の光」だったらしい。  JPOPでも昔から卒業をテーマにした曲は多い。というのも、卒業ソングが当たって定番となれば、卒業式の時期に必ず取り上げられることになるからだ。似たようなパターンでは「クリスマスソング」がある。これも当たればクリスマスの時期に必ずメディアや街で流れることになる。  このように、何らかのイベントに紐づけされた楽曲はそのイベントの時期に耳にすることが多くなるので、ミュージシャンにとっては実に美味しい。結婚式ソングやバレンタインデーソングも増えてきているし、七夕ソング、ハロウィンソングなんてのもある。そのうちお盆の墓参りソングとか夏至、冬至ソングなんかも登場するかもしれない。そんな曲を作る気は、俺には毛頭無いが。  それはともかく。  俺がメジャーデビューしたのは五年前。大学在学中に大手レーベル主催の新人オーディションを受けて選出され、メジャーデビューに至った。そして、デビュー曲「卒業」が、いきなり大ヒットとなった。
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