「卒業」からの卒業

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 メジャーレーベルをクビになった、と言っても、それで俺の収入が完全に閉ざされたわけではない。確かにアーティスト印税は無くなったが、著作権印税は今でも入ってくる。特にカラオケの印税は大きい。全国のカラオケ店における「卒業」の二~三月の歌唱回数は合計百万回ほどになる。今の俺の年収はこの時期にほぼ全て叩き出されている、と言ってもいい。青色申告しても贅沢しなければ十分食っていけるレベルだ。ただ……  それが将来にわたって続く保証はない。現に、最近はコロナ禍でカラオケ店の客の入りがかなり悪くなっていて、必然的に「卒業」のカラオケ印税もガクッと下がっている。  このままでは食っていけなくなる。やはり何か仕事しなくては。他の職に就くことも考えたが、不思議なもので、メジャー時代の、常に曲を出さなきゃならないというプレッシャーから解放されると、逆に曲が作りたくなってきた。やはり俺にはこの道しかないようだ。  しかし、販売力の低いインディーズレーベルでは収入はあまり期待できない。ここはやはり動画サイトを使うしかないんじゃないだろうか。
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