聖花乱舞

1/5
63人が本棚に入れています
本棚に追加
/546ページ

聖花乱舞

 結界が解除され、周りに蠢いていた黒い蛇たちがこちらに向かって動き出した。  それと同時に土偶がバッと前に出た。 「先手必勝」  土偶は両手を前に突き出し、目をカッと開いた。  黒い蛇目がけて、空中から小砂利がパラパラと落ちてくる。  倒しているのかいないのか定かではないが、みるみる黒い蛇たちは小砂利に埋まってゆく。  こういう時の行動の速いこと。  術を使える土偶のほうが有利なのかもしれない。  でも、私も負けてらんない。  天の美月に力を通し、鞭へと変形させると走り出した。  鞭を振りまわし黒い蛇たちの中に突っ込んで行く。  飛びかかる蛇を回避しなら、バシバシと蛇を倒す。  鞭の当たった蛇はぱあっと輝き、光になって消えてゆく。  大地に光が広まる様は大変美しい。  暗い闇の中で、ホタルが舞っているようでもある。  なんて、始めのうちは思っていたんだけどね。  一体、どの位の間私は鞭を振り回しているんだろう?  いつもよりもスピードを上げ、蛇に相対しているんだけど、何しろ蛇の数が多すぎる。  倒しても倒しても、増殖して行く黒い蛇たち。  額から汗は流れ、息遣いも荒くなってきた。  流石に疲労が蓄積して、スピードも落ちてきた。  このまま普通に戦っていも、一向にヘビの数は減らず、埒が明かない。    
/546ページ

最初のコメントを投稿しよう!