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聖花乱舞
結界が解除され、周りに蠢いていた黒い蛇たちがこちらに向かって動き出した。
それと同時に土偶がバッと前に出た。
「先手必勝」
土偶は両手を前に突き出し、目をカッと開いた。
黒い蛇目がけて、空中から小砂利がパラパラと落ちてくる。
倒しているのかいないのか定かではないが、みるみる黒い蛇たちは小砂利に埋まってゆく。
こういう時の行動の速いこと。
術を使える土偶のほうが有利なのかもしれない。
でも、私も負けてらんない。
天の美月に力を通し、鞭へと変形させると走り出した。
鞭を振りまわし黒い蛇たちの中に突っ込んで行く。
飛びかかる蛇を回避しなら、バシバシと蛇を倒す。
鞭の当たった蛇はぱあっと輝き、光になって消えてゆく。
大地に光が広まる様は大変美しい。
暗い闇の中で、ホタルが舞っているようでもある。
なんて、始めのうちは思っていたんだけどね。
一体、どの位の間私は鞭を振り回しているんだろう?
いつもよりもスピードを上げ、蛇に相対しているんだけど、何しろ蛇の数が多すぎる。
倒しても倒しても、増殖して行く黒い蛇たち。
額から汗は流れ、息遣いも荒くなってきた。
流石に疲労が蓄積して、スピードも落ちてきた。
このまま普通に戦っていも、一向にヘビの数は減らず、埒が明かない。
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