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この際、土偶のプライドを完膚なきまでに叩き潰しておいたほうが、今後の動きがスムーズになるのではないか?
そうだよ。
負けなければいいんだからね。
私はほくそ笑み、土偶を指さして宣言した。
「わかった。この勝負受けて立つわ!」
土偶はニヤリと笑い腕を組んだ。
「ははっ!そうこなくては。迅速に勝負して、祝言を上げるぞ」
「言っとくけど、私負けないから。それで、勝負の方法は?」
土偶は辺りをぐるっと見回し、小さく頷いた。
「俺達の周りに蠢いてるあの黒い蛇!あいつら邪魔だ。あの蛇をどちらが多く倒せるかで勝敗を決めよう」
なるほど。
土偶にしてはいい考えだ。
いつの間にか黒い蛇は増え続け、もうどうにもならない所まで来ていたから。
黒い蛇の数を減らせれば、一石二鳥になる。
「わかった。アマテラス、ツクヨミ。勝負の審判をお願い」
空にいた二人は、楽しそうに片手を上げた。
「あら、面白そうね。いいわよ」
「任せておけ!」
アマテラスとツクヨミは配置につき、土偶と私は並び立った。
「土偶、三つ数えたら結界を解除するよ。それが勝負開始の合図になる。用意はできた?」
「そうか、俺はいつでもいいぞ」
準備は整った。
私は右手に持つ神器に力を込めて叫んだ。
「さん、に、いち。結界解除!」
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