花に嵐のたとえがあれど

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 俺はかつて、取り返しのつかないことをした。  大切だった友達の、人生の一区間を駄目にした。  この季節になると思い出す。  中学卒業の日以来、アイツとは一度も会っていない。もちろん、あれからどうしているかも全く分からない。  だけどどうか俺がいつも想像している通り、幸せであってほしいと願わない日はない。  俺が台無しにしたのは中学校生活の三年間だけであれ。酷かった日々は長い人生の中において、その一区間だけであってほしいと今でも思う。  俺はアイツを忘れたことはないが、俺のことは忘れていてくれたら幸いだ。もし、覚えていたらきっと恨みしかないだろう。  俺にとっては大切な、あの夏の日の眩しい思い出すら否定されてしまうのは耐え難い。だったら二人の思い出ごと、忘れていてほしいのだ。
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