花に嵐のたとえがあれど

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 俺には友達がいた。  小五の夏、祖母宅に向かう途中俺は道に迷い、通りかかった子供に声をかけた。同じ年頃に見えたから気軽に声をかけた。学校も住んでいる地区も違ったが、道に迷ったおかげで出会った友達だった。  夏休みや冬休み、長期の休みのたびに俺は隣町の祖母宅に預けられていた。 妹が生まれたのがきっかけだ。  父親が病気で他界し、母は再婚をした。新しい父親も悪い人ではなかったから俺も姉も平和に暮らすことができた。  そのうち姉が進学のため家を出た。間を開けず生まれた妹の世話に母は当然かかりきりになる。気をかけてやれないのは可哀想だと、義父は俺を祖母宅に預けることを提案した。  子供ながらにすぐに厄介払いだと気付いたが、唯一気を許せた姉ももういない。俺としても祖母宅に居られる方が気楽だった。
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