花に嵐のたとえがあれど

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 背がひょろっと高くて髪の色が薄い。亮はもう一人の子共にランディと呼ばれていた。聞いてみるとが父親が外国人らしい。つまりハーフだ。  日に透ける髪が物珍しくて、触らせてもらった。そんな亮と連れ立って歩くのことに、なぜか優越感のようなものがあって、亮の学校の友達よりも親しいところを見せたくて馴れ馴れしくしていた覚えがある。  亮の通う学校を見に行ったり、涼を求めて図書館へも行ってみた。小川が流れる公園ではあまりの暑さに水をかけあって遊んだりもしたっけ。小学生の足では行けるところは限られていたが、俺は少しも退屈はしなかった。  亮と遊ぶのは楽しかった。一緒に居るのが心地良い……というより、大雑把な性格だった俺は基本的に自宅以外ならどこにいても心地良くなれた。  気遣いというものを知らなかった俺は、思ったまま生きていたと思う。家の外のすべてが楽しかった。  坂の上の家は養護施設だった。  亮は自分が人と違うことをなんとも思っていないようにみえた。亮にとってはそれが当たり前。両親に、家に不満があった俺は自分がとても小さく見えて、俺のような境遇のやつこそよくある話だと思えた。  親の居ない子供の話もテレビか何かで聞いたことがある。養護施設に子供が沢山いるってことは、自分が知らなかっただけで、良くある話なんだと、俺は自分が恵まれていることを知ったっけ。
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