先生はいつ卒業できるの?

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「僕はね、君たちといっしょには卒業できないんだ。いや、一生卒業できないかもしれない。それはみんなが、かわいそうな人生だと言うかもしれないけれどね。後悔はしていないよ。これが僕の選んだ道だから。」  そう語る先生は、もうしっかり笑顔を作っていたが、私は思わず涙した。みんなは自分たちがこの苦しみから解放されることでうれし涙を浮かべているけど、私の涙はうれし涙などではなかった。  私たちが彼を初めて先生と呼んだのは、彼に初めて会った日の翌日だった。先生の見た目は私たちよりも幼く見えたので、最初は後輩だと思っていたんだ。だけども初日から、先生は私たちの誰よりも物知りだということに驚かされた。
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