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「今日はいいのよ。ほらほら、遠慮しないで食べてよ」
「母さんの料理はうまいからなぁ」
「はい、どうぞ」
喜美恵が肉じゃがをよそい、制服姿の知花の前に置いた。
「……」
知花は少し頭を下げただけで、膝の上に置いた手を動かそうとはしなかった。
「アレルギーとか嫌いな物はない?」
喜美恵が優しく問いかけると知花は小さく頷いた。
「じゃあ、唐揚げも食べて。あ、ちなみにローストビーフは買ってきたものだからね。美樹はここのローストビーフしか食べないのよ。生意気でしょ?」
「これ、本当に美味しいのよ。食べてみて」
美樹がローストビーフが盛り付けられたお皿を知花の方へ寄せた。
賢太郎は黙々と食べ続け、良雄はその光景を肴に晩酌をする。
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