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no-side────
「おい見ろよ」
「またレンさんが“アレ”大量に持って帰ってるぜ」
恋の持つ紙袋を見て校内の不良たちが囁きあう。
「あんなもん捨てちまえばいいのに…」
「あれってさ。あれだろ舎弟…シンセエ?」
「申請だろ。レンさんてやっぱ優しーよな」
叶多の一件があってから恋が怒ると怖いという事は1年の中で知れ渡っている。なにが地雷になるのか分からない恐怖とともに、あの威圧感は不良としての羨望を腹の中で乱れさせる。
「確か…話によりゃ持って帰って全部保管してるらしーぜ?」
「?なんでんなめんどくせぇことすんだよ」
「レンさんだぞ?オレに分かると思うか?」
単に好意を無下に捨てられないと言うだけなのだが、元々自分より弱い人らからの好意に喜びを感じ辛い不良達は首を捻るばかりだった。
そんな彼らの会話に耳を傾けながら、通りすがりに遠目から恋をチラ見しそのまま隣を歩く人間に合わせて足を勧める男が一人。彼のアッシュの髪が歩行にあわせてふわりと靡いた。
「本当に面白い子ですね…」
鈍色の瞳の男──菅野 玲二が呟く。それを傍らで怪訝そうに見るのはここ、黒宵高校のトップ──卯月 迅だった。
「誰だ」
「紗枝野 恋ですよ。元テンション眼鏡と呼ばれていた1年の子です」
「紗枝野…?知らねェな、アイの双子か?」
玲二は「いえ、従兄弟だそうですよ」と微笑みながら首を振った。
「最近眼鏡を紛失したとかでそのまま学校に来たんですけどね、如何せんあの顔でしょう?如何にも不良が好みそうな冷たい顔に加えて喧嘩中の動きも良いのでそれが好まれてるのか未だに騒がれてますよ」
屋上への階段を登りながら、玲二は自らの主…卯月組若頭である迅へ短期間で集まった情報を共有していく。
「ほう…で、そいつは何で1人で学校に来てんだ?どうせそいつの事調べてんだろ詳しく聞かせろ」
「今のところ彼の舎弟はただ一人南中の元トップ南 叶多だけですが、彼は寮組ですので」
「は……?騒がれてんだろ?取り巻きが一人?」
迅が怪訝そうに眉を顰め足を止める。玲二はそんな迅をみて同じく階段を上る足を止めると困ったように眉を下げ「まぁ厳密には数名よく近くにいる子達がいるのですけどその子達は友達だそうですよ」と言いつつまた足を進め初めた。
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