枯葉男と布団女

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 いつも通りの朝、なんの変化もない永劫回帰の日常、散歩の時に布団女は叫んでしまいたくなるときもあった。  道行く人々全てに予定というものがあり、居場所がある。  目的地に向かって歩みを勧めているのを叫び声で止めたくなる。 「あ~~~~~!」  そんなことをしても誰も見てはくれない。彼女はゲームのバグの中をひたすら生きているような感覚に陥るのだった。 「精神疾患の不審者まっしぐらだ……」  彼女の頭の中は常にぐちゃぐちゃで妄想に侵されていた。 「多分、私はこうやって息をするのがやっとだけど、枯葉男さんは多分違うんだろうな」  彼女は次第に彼に自分が愛されているかのような妄想に陥り、エロトマニアになっていった。  彼の作品は読めるだけ全て読んだ。彼のことはなんでも知っている気がしていたし、恋人だと思っていった。  そして、その妄想は手をつけられないぐらい大きくなっていった。
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