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彼のことに夢中になっていくうちに布団女は枯葉男のあることに気づいてしまった。
何でも知っているという情報は枯葉男としてであり、彼自身の本名すらしらないことに気づいてしまったのだ。
「なんでもわかった気になってたのに、何も知らないんだ私……」
彼の人物像が摑めなかった。
感受性豊かな詞を読む繊細さと脆さ、社交性豊かで、小説サイトのコメントを見るに友人も多そうだ。
髪は日記にのっていたので長髪らしいことがわかった。仕事は忙しく、物語の更新頻度はそこまで多くなかったが、ただ数は膨大にあった。
「私は彼の恋人なのに……」
布団女は枯葉男のことを恋人だとおもっていた。
心に寄り添っていると、現に何回かは枯葉男と個人的なやりとりをしたことがあり、彼は優しかったし、彼女を特別に見てくれていたと確信していたからだ。
「もっと、彼のことを知りたい……どうしたらいいんだろう。」
布団女は布団にくるまりながら、悩んだ。
寝ては悩み、寝ては悩むのを繰り返した。
しかし、今の彼女にはどうすることも出来なかった。謎の多い枯葉男の人物像、それを打ち破るには現実をがんばるしか無いのだ。
妄想の中の恋人……しかし彼は現実に存在している。同じ時を生きているのだ。
布団女は嬉しいような悲しいような複雑な心境に陥った。
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