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布団女は寝ながら枯葉男の夢をよく見た。決まって見るのは初めての邂逅、現実世界で彼と会う夢である。
布団女は彼に何も言えない、真っ赤に俯いて、目線もろくに合わせられないだろう。
高鳴る鼓動。
──本当に枯葉男さんですか?
とわざわざスマートフォンを使い文字を打ち、TwitterのDMなどから確認をとるであろう。
枯葉男はスマートフォンを彼女に見せ、自分が枯葉男である証を彼女に提示する。すると、布団女は俯いた顔をぱっとあげて、はにかんだ笑顔を彼に向け、駆け寄り、小さなお辞儀を一つする。
そして、震えた声で自己紹介をするのだ。
「はじめまして、布団女こと○○と申します」
もちろんそれだけで終わりではない。
それから布団女は彼の手をそっと取る。
ここで街を案内するなどというのが、一般的なのだが、忘れてはいけない、これは布団女の妄想である。
布団女は病を患っている。人混みなどには行けない。だから彼にこう提案するだろう。
「二人きりになれる場所に行きたい」
当然枯葉男は戸惑うだろうが、そこは妄想、彼は自分の泊まる予定の宿に彼女を案内する。
ここで注意をしておきたいのは布団女には邪な気持ちは無いということ、彼女は精神的に幼く、密室に連れ込むからと言って枯葉男を取って食ったりはしないのだ。
ならなぜ、密室に行くのか、彼女は彼の存在に興味があった。じっくり確かめたかったのだ。
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