ずっと、ずっと、ずっと。

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ずっと、ずっと、ずっと。

 一体、どこからお話すればいいのでしょうか。  わかっているのは、あのおまじないが全ての元凶だったということだけです。  私、新沢日登美(にいざわひとみ)には、小学生の頃五人の友達がいました。  みんなのリーダーでお姉さん気質な陽菜(はるな)。  大人しいけど、クラスで一番勉強ができた眼鏡っ子の和音(かずね)。  アメリカから来たばかりで日本語はカタコトだけど、天真爛漫なエマ。  小柄だけど誰よりかけっこが早くて運動神経抜群だった遼子(りょうこ)。  それから、男っぽいけど力持ちで正義感の強い、夢花(ゆめか)。  タイプもバラマラ、正確もバラバラ、趣味もバラバラだったけど妙に気が合ったというか。  全員が揃った小学校五年生のクラスは、本当に楽しかったのです。中学生になっても、高校生になっても、それからずっと先の大人になっても。ずっとずっと、自分達の友情が続いて欲しいと願っていました。  だから、インターネットで見かけたおまじないを試してみることにしたのです。  今でもはっきり覚えています。確か、こんな内容でした。それぞれの血をちょこっとしみこませて、名前を書いたメモ用紙をそれぞれ用意。その上に、六人で手を重ね合わせて言うのです。 『今日から私達は、ずっとずっとずっと、友達でいることを此処に誓います!』 『誓う!』 『誓います』 『誓いマス!』 『誓いまーす』 『誓いまっす!』 『今日から私達は、ずっとずっとずっと、一緒にいることを誓います!』 『私達は、ずっとずっとずっと、仲間であることを誓います!』 『私達は、けしてお互いを傷つけたりはしません!』 『私達は、けしてお互いを裏切ることはしません!』 『私達は、友情に罅を入れることをけして許しません!全ての責を負うことを誓います!』 『誓います』 『誓いマス!』 『誓いまーす』 『誓いまっす!』 『だからお願いします。私達に永遠の友情を約束してください。私の名前は新沢日登美(にいざわひとみ)です』 『小倉陽菜(おぐらはるな)だよ!』 『会田和音(あいだかずね)です……』 『エマ・グリーン、デス!』 『樋口遼子(ひぐちりょうこ)でーす』 『天童夢花(てんどうゆめか)だぜ!』 『私達はずっとずっとずっと、本物の友達です!』  その儀式を、他の人に見られないように放課後の空き教室でやる。それだけでした。  たったそれだけの、子供の儀式だったのです。私達は気づいていませんでした、自分達の友情が揺らぐ日が来ることも、これから起きる恐ろしい出来事も。
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