ずっと、ずっと、ずっと。

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 ***  私達は和音の死を嘆き悲しみました。これからという時に、何故彼女はあんな死に方をしなければいけなかったのか。  この時、私はまだ彼女の死がおまじないのせいだとは思っていませんでした。多分、他のメンバーも同じでしょう。  問題は、中学校二年生になった時。エマが親の都合で、アメリカに帰らなければいけなくなった時です。 『和音さんに続いて、ワタシまで……本当に、本当に、皆さんにはごめんなさいデス』  彼女はなかなか日本語がうまくならなりませんでしたが、イントネーションはともかく会話は充分に通じるようになっていました。日本が大好きで、これからもずっと日本にいたかった。彼女を四人で空港まで見送りに行った時、エマは涙ながらにそう語ってくれました。 『でも、ワタシにとって、皆さんはベストフレンドです。それは変わりまセン。メールも、LINEもしマス。お手紙も出しマス。ずっとずっと、ワタシと友達でいてくだサイ!』  もう、ここまで話せば予想がつくことでしょう。  エマもまた、アメリカに着いた直後に亡くなったのです。それも、かなり不可解な死でした。だって、関係者でもなんでもない一般人が飛行場に直接降りることなんて普通はないじゃないですか。  それなのに、彼女は飛行場に一人で降りたようなのです。  そして恐ろしいことに、飛行機のエンジンに吸い込まれてしまったというのです。  一瞬のことだったでしょう――あんなものに人が吸い込まれたらどうなるかなんて、想像したくもありません。とても、交通事故で死んだ和音のがまだマシに思えるほど、生き物としての原型を留めていなかったはずです。  何でこんな不幸が続くんだろう。この時はまだ、私も悲しみの方が勝っていました。でも。  多分。そうではない仲間も、既にいたということなのでしょう。 『あんたのせいでしょ!』 『何でそんなこと言うの陽菜ちゃん!陽菜ちゃんだって、面白そうって賛成してたのに!!』  私達のリーダーだった陽菜と、マスコットのように可愛がられていた遼子の仲が急に険悪になり始めたのです。どうやら彼女達は、仲間が二人も亡くなったことで、あのおまじないが原因だったのではと考え始めたようでした。  おまじないを言いだしたのは遼子で、面白そうだからやろうと乗っかったのが陽菜。お互いに、責任をなすりつけはじめたのです。  私と夢花は二人の仲裁に入ろうとしましたが、彼女達の関係は悪化の一途を辿りました。それは、中学を卒業して高校に入ってからも変わることなく。
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