おわりとはじまり

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 この強引さ、懐かし過ぎて目眩がする。  今更、電話で用が足りるとも言えない。  空のきわが少しずつ朱色に染まってきていた。  遊んでいた親子が公園を去り始める。その様子をベンチに座ったままぼんやりと眺める。  会いたくなければここを去ることもできる。そうしても、渉なら怒らないだろう。  だけど、もう特別ではないと確認することになっても、逃げるわけにはいかない。  向き合わないと、前に進めない。  どれくらいの時が経ったのだろう。  心臓はずっと早鐘を打っていて、気が遠くなるくらい長い時間にも感じた。 「悠希」  懐かしい声が聞こえて、声の方を見た。  表情もわからないくらいの遠くから、笑顔の渉が駆けてくる。  以前より少し日焼けしているようだが、雰囲気は変わらない。  まるで大型犬のように走り寄ってきて、立ち上がった悠希を強く抱きしめた。 「悠希!」  心臓が、破裂しそう。  どうすればいいかわからず無言で硬直していると、渉は弾かれたように離れた。 「うわ、ごめん。また、つい、勢いで」  申し訳なさそうな顔をしている。こんな状況じゃなければ笑ってた。 「……久しぶりだな」  なんとか言葉を絞り出す。 「変わったかな、いや、変わってないか」  渉が遠慮なく顔を覗き込んでくる。  頬が熱くなる。 「俺から先にいい?」 「え?」  こういうときは、普通、先に相手に言わせるものじゃないのか?  そう思ったけれど、待っていられないのは渉らしい。  悠希は静かに頷いた。 「会いたかった。俺、一緒に東京出るって言葉守れなかったけど、絶対離れたりしないって証明したかった。悠希が今まで別れた人とは違う、特別だって」  本当に…?  今も、特別なのか?  夢を見ているようだった。  身体の奥深くから熱い想いが込み上げてくる。   「だからこれからも、時折遠くへ行くことあっても絶対帰ってくるから! 悠希のところに。それじゃダメかな」  言わなくては。  あのとき言えなかった言葉を。素直な気持ちを。
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