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 まだ会って二時間も経っていないというのに、悠希には渉がどういう人間かわかった気がした。  誰にでも気さくに話し掛ける。  そこにいるだけで周囲を明るい気分にさせる。  自分とは正反対だ。  だけど、どんな人間だとしても関係ない。  友達になることはないだろうし、その必要もない。仮になったところで、どうせ春には別れるのだ。ずっと友達だと言っても、その場限りで終わる。離れてしまえば疎遠になる。  そんなものだ。  慣れている。  こんなことには。  渉は小声で話しかけてきた。 「教科書、見せてくれないかな。時間割わかんなかったから適当に持ってきたんだけど、全然当てがはずれてるし」  断わる理由はない。隣席なのだから仕方ない。 「いいよ」  頷くと、渉は嬉しそうに笑った。  最初に見たとき、ひまわりの花を連想したのを思い出した。  夏の日差しが似合う。強い日差しにも負けない明るさ。  眩しすぎて、少し居心地が悪い。
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