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授業が始まると渉は机を近付けてきて教科書を覗き込んだ。時折、こくりと頭を傾けて居眠りをしたりもする。
休み時間には何人もの男子が渉を囲んだ。
おかげで悠希はあまり話をしなくて済んだ。
昼休みには一人で弁当を食べている悠希にあれこれ話しかけてきたが、他の生徒が邪魔してくれたおかげで、やはり深く話さずに済んだ。
この調子だと帰りも捕まってしまうかもしれない。他の生徒とよりも話したがっているのがわかった。たぶん深い意味はなく、初めて会う転校生がどんな人間なのか興味があるというだけだろう。
嫌な印象はない。誰もが好印象を抱くようなやつなのに、どうしてだろう。一緒にいると、話し掛けられると落ち着かない。その理由がわからなかった。
考えないようにしよう。
親しげに近付いてきても、どうせいつかは離れていく。
そう思い、渉に捕まらないように隙を見て急いで下校した
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