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「シャッターチャンス」
悪戯をした子供のような表情。
「いいなんて言ってないだろう」
さすがに少しムッときて、声を大きくする。
男は「まあ、まあ」などと、なだめるように言いながら近付いてきた。
何が、まあまあ、だ。
人のいい笑顔に押し切られそうになっているのに気付き、抗議の言葉を口にしようとした。だけど男は再び悠希の絵を覗き込み、何度も頷いて笑う。
「面白いなあ。俺の目にはさ、こんなふうには見えない」
「……あのさ」
勝手に写真撮るなよ、と、それだけが言いたかった。だけどもう、どうでもよくなってきている。
「綺麗だな」
男は絵を見て、それから悠希に視線を移した。
「好きだな、その絵」
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