1卵生双子✖1卵生双子

1/1
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
僕は鏡介、1卵生双生児の弟俊介がいる。 当然ながら1卵生なので先生も見分けがつかないほどに似ている。 そして同じ年に違う家庭が1卵生双生児を産み落とした。一矢(ひとや)2夜(ふたや)の2人だ。当然ながら顔はすごく同じである。 そんな僕らは幼稚園から中学まで幼馴染…ではあったのだけれども、僕の弟俊介と一矢は幼稚園児のころから仲が悪かった。一矢は僕に石を間違えて投げつけてきたこともある。僕を俊介だと勘違いしたのだろう。 困った所は犬猿の仲にある、一矢と俊介がいがみあってる理由が全く分からなかった事である。 ある日、夕食時にそれとなく訪ねてみたのだけど、完全に無視されて食器を台所に持って行っていってしまった。 一番最悪だったのが、恭介はこっそり教室にもどり体育の授業の時、ねずみ色のTしゃつのバックに一矢とマジック書きした事だった。これで2夜と間違える事がなくなるとでも思ったのだろう。 あの時の一矢の怒りっぷりは可哀そうながら笑えたもんだ。 僕、鏡介と2夜は特に何もなかったが、2夜はいつも他人事のように微笑していた。鏡介はその横顔にキュンとしながらも、2人のケンカを遠くの方で眺めるという意見は一致し、学校内では半分無視していた。 そもそも1卵生双生児を1クラスにまとめた学校側にも落ち度はあったとも言える。 ややこしいいざこざが起きるのを予想できなかったのだろうか。絶対おかしい。 この前なんかドッジボールをやっていた時も必ず敵と味方に分かれて、俊介は一矢だけを執拗に当てにいっていた…。ボクシングみたいな、合法的ケンカと化していた。 この問題をいかに解決するか考えた結果、僕が俊介の代わりとなって、一矢に色々聞いて仲を取り持ち、ハグまでできれば大成功だろうと閃いた。二夜にも聞いてみたが、いいんじゃないかなとの事だった。 恭介に扮した鏡介は、放課後体育館の裏までくるように手紙を靴箱に入れていた。 「決闘の時がきたようだな…」 一矢は拳を靴箱に撃ち込んだ。どうやらケンカでケリをつける気でいたようだ。 夕暮れ過ぎに、一矢になりすました2夜がいた。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!