4/4
前へ
/51ページ
次へ
 帰り支度を始めようとしたが、足に力が入らない。なんだかふらふらする。飲みすぎた。そんなにお酒に強いわけじゃないのに。 「おいおい、そんな千鳥足じゃ帰れないだろ。今夜はここに泊まっていけ」  碧唯兄ちゃんの提案に、おとなしく甘えることにした。だが、寝る前に仕事でしみついた汗臭さははどうにかしないと。碧唯兄ちゃんちの布団をよごすわけにはいかない。 「ん……、ありがと。じゃあ、お風呂貸して」 「そんだけ泥酔してんのに風呂なんて、あぶないだろ」 「でも……」  こんな、労働と酒の臭いがしみついた身体で寝るわけにはいかないし。そんなことを思ってうだうだしていると、碧唯兄ちゃんはふっと笑った。 「なら二人で風呂に入るか。それなら安全だろ」
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加