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 呼び醒まされた官能が、身体を支配していく。男性の証はありえないほどに硬化し、だらだらと透明な涙をこぼしていた。これじゃ、さっきまで相談してた内容が、全部ウソだったみたいじゃないか。 「ここも気持ちよくしてやる」 「あああぅっ!」  大きな手が、そこを優しくつつむ。それだけで、頭のてっぺんからつまさきまで、甘美な電流が貫いた。雷雨のような快楽にあらがえず、あっけなく絶頂へと導かれていく。 「やあああ……っ!」  白濁液がふき出し、壁に模様を作った。碧唯兄ちゃんの手も、どろどろした液体でよごれている。それらが異様なほど背徳的に見えて、ぞくぞくした。精神は興奮状態だったけれど、泥酔状態した身体には過ぎた快楽だ。ぐったりと浴室の壁にもたれていると、ぽん、と頭を軽くたたかれた。 「おまえの身体に異常はない。焦らなくても、そのうち彼女との仲も進展するはずだ。男の性欲ってのはメンタルが大事なんだ、あんま心配しすぎるなよ」  優しいはずの励ましが、僕の心をぱきりと折った。
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