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「ほんとだ。こんなにたくさん……」  ほたるたちは音もなく、かすかな点滅をくりかえしながら、ふわふわと飛んでいる。声を持たぬほたるたちが、命を燃やして贈るプロポーズだ。はかなくも美しい景色に、胸が熱くなった。 (晴美さんと、ずっと一緒にいたい)  晴美さんの横顔にキスをして、両腕の中に閉じ込めた。抱きしめた体躯はやわらかくて、か弱くて、力を入れるのが怖くなる。この華奢な体に、透き通った宝石のような心が入っている。純度の高い優しさの結晶だ。  ああ、やっぱり好きだ。愛おしすぎて悲しくなり、苦しいほどに切なくなる。大事にしたい。僕の一生をかけて守りたい。 「愛してる」
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