38人が本棚に入れています
本棚に追加
「ほんとだ。こんなにたくさん……」
ほたるたちは音もなく、かすかな点滅をくりかえしながら、ふわふわと飛んでいる。声を持たぬほたるたちが、命を燃やして贈るプロポーズだ。はかなくも美しい景色に、胸が熱くなった。
(晴美さんと、ずっと一緒にいたい)
晴美さんの横顔にキスをして、両腕の中に閉じ込めた。抱きしめた体躯はやわらかくて、か弱くて、力を入れるのが怖くなる。この華奢な体に、透き通った宝石のような心が入っている。純度の高い優しさの結晶だ。
ああ、やっぱり好きだ。愛おしすぎて悲しくなり、苦しいほどに切なくなる。大事にしたい。僕の一生をかけて守りたい。
「愛してる」
最初のコメントを投稿しよう!