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「嘘なんだろ、強がるなよ」と見破ってほしかった。「また相談しろよ」って言ってほしかった。いつもあんなに洞察力が鋭いのに、今回に限って看過されるなんて。
ドアの向こうに消えていく、白衣を見つめた。去っていく背中にすがりつきたい。でも、すがりついたとして、僕はなにを伝えたいんだろう。自分の中に答えをさがすほど、整合性のとれた解答が遠ざかっていく。
(なんでこんなに、むしゃくしゃするんだろ)
なにかに翻弄されているようで、全部、自業自得にも思える。病院の自動ドアを出て、まぶしい太陽光を浴びたら、影になった気持ちがあふれ出てきそうで、僕は走り出していた。
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