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 新世紀エヴァンゲリオンというアニメに「見知らぬ、天井」というタイトルの回があった。主人公、シンジが病院で目が覚めるところから始まる回だ。まさに、そのシーンを追体験してるみたいだった。病院の天井がぼんやりと見え、腕には点滴の針がついている。  アニメでは、ベッドで寝ているシンジのもとに、ヒロイン、綾波レイがあらわれる。僕の場合、病室にあらわれたのは碧唯兄ちゃんだった。 「……ここは、どこ……?」 「アオイ総合病院の個室だ。『道路で倒れてる人がいる』と119番通報があった。おまえが運ばれてきたからびっくりしたぞ。一体どうしたんだ」  救急隊員が救急搬送されるなんて。ふっと自虐的に笑ったら、体中がギシギシと痛んだ。これほど自分を苛め抜いても、結局、自分からは逃げられなかった。心に翻弄され、身体に裏切られた、情けない自分のままだ。  なにも言わないでいたら、碧唯兄ちゃんはそれ以上追及してはこなかった。
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