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「ああ……」  体中を、ぬるぬるしたものが這い回る。正体を確かめようにも、目が開かない。体も動かない。そのうち、正体不明の「なにか」が、股間の一点に吸いついてきた。暗闇の中でしつこく吸引され、あまりの気持ちよさに悶えた。  これは夢だ。夢だと自覚していた。だが、視覚を封じられて鋭敏になった感覚が、現実のようなリアリティをもたらしていた。ふいに、碧唯兄ちゃんの匂いが鼻孔をくすぐる。日常的かつ背徳的な匂いに、興奮が爆発した。 「……ふぁあっ!」  ぬるぬるの中に射精した。晴美さんとの情交で、あんなに悩んでいたのが嘘みたいだ。興奮は引かず、一度だけでは足りないと、再び硬度が増していく。だが二度目はなく、「なにか」は去っていく。 「待っ、て……」
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